2011年8月30日火曜日

MHP3HD 感想

 やってる場合じゃないがMHP3HDが届いたのでやってみた。前回書いた記事で「思いの他クソ」と思っていたのだが、「思いの他クソでもないかも」に改める必要がある。
 まず全体的なことを言うと、確かに手抜き感は否定できない。作った人はユーザーの利益よりも(というか犠牲にして)会社の利益を取ったのだろう。このゲームをプレイすればやった人間のほとんどが小学生からお爺さんお婆さんまで「こうすればもう少し良くなるのになあ・・・」という点に簡単に気づくことができる。何もかも中途半端である。綺麗綺麗と売っていたグラフィックは細部(と言ってもHDで拡大されたので正確には「細部だった場所」)が荒い。アドホックパーティー→ゲーム開始の流れは遅い。ロード時間も本当にインストールされているのかと疑いたくなるスピード。頻繁に接続が切れる。野良ハンター殺しの「部屋から出られない仕様」・・・。このゲームは簡単に叩くことができる。
 他方で、この「簡単に叩くことができる」という評価は、実は評価する視点の水準を上げすぎている嫌いもある。前提として「PS3という、少なくとも性能だけだったら現在世界で出回っているゲーム機の中で最高クラスなんだから、さぞMHP3はグラフィックが綺麗になっているだろうし、ロードも早いだろうし、接続も安定するだろうし、処理速度も速いだろう」、「450万本も売れた言わば『国民的』ゲームなんだから、そのゲーム製作に携わった企業はユーザーの期待を裏切らないだろう」という期待があり、その期待がことごとく裏切られているので、このMHP3HDは現状「クソ」という評価になっているのだと思われる。
 この前提を抜きに評価することはある種の仮説を呈することになるので意味があるのか不明だが、俺の考えだと「思いの他クソでもないかも」ぐらいがこのゲームの評価・感想として妥当だと思う。もちろん俺はこのゲームの製作に間接的・直接的に携わったソニーとカプコンという企業の無能性は上記した誰でも分かる欠点ゆえに「誰でも分かっ」たと思うし(特にソニーは今年に入ってこれでゲーム関連で二度目の失態)、何より、アメリカでこのゲームが450万本も売れていたら(売れないけど)、クラスアクションでも起こされていたんじゃないかと言いたくなるほどの、「無能性」とは無関係に「不誠実」な広告・販売(上記した「誰でも分かる欠点」は広告にも公式HPにも事前に表記されていない)は、擁護できないし、擁護したくもない。新車と思っていたBMWが再塗装されていただけで訴訟を起こされているんだから、「素晴らしいと思っていたゲームがクソだった」だけで訴訟を起こしても(勝つか負けるかは抜きにして)少なくとも不条理ではない。買ったものの価値が全然違うので詭弁だが。
 しかし、難しいとは思うが上記した「期待」を抜きにやってみると、「まあ・・・うーん・・・モンハンやってるな俺」ぐらいは思うことができる。そして「うーん・・・・まあPSPよりはグラフィックましになったんじゃねえの?」ぐらいは思うことができる。加えて、上記した欠点が常に100%発現するわけではなく、「運」に依存していることなので、「運」が良く、さらに部屋がクソ部屋じゃなかったら、この「モンハンやってるな俺」という感覚は味わうことができる。というわけで、このゲームを買って、「運」が良く欠点が発現せず、クソ部屋に入らなかった人にとっては「思いの他クソでもない」ゲームがMHP3HDである。そして、「運」が悪く欠点が発現しまくって、更にやっと入った部屋がクソ部屋で出る度にXMBからゲーム終了を選ばなければならなくなった人にとっては「思いの他クソ」みたいなゲームがMHP3HDである。

2011年8月27日土曜日

ハリケーン襲来!!

 日本では宇宙空間でガンダムのごとく戦闘している弐号機の映像が流れたり何をやってたのかよく分からない総理大臣が辞任する意思を(やっと)固めたりやっと発売されたHDバージョンが思いのほかクソ(まさかの野良ハンター殺し仕様)だったり、いろいろあったようだが、New Yorkでは内容より手続き的な側面がめんどくさかったテスト(土壇場でいきなり説明するんじゃなくてここにある情報を事前に一部重要なとこだけでもいいんで添付ファイルで流してくれませんかね。いや、ピクニックとか飲み会の案内よりそっち優先だろ)の後、「アイリーン」なるハリケーンが直撃するかも・・・という状況になっている。
 これは恐ろしい。大学からもフルブライトからも緊急時にはちゃんと逃げろというメールが来ている。こっそり論文を投稿したり、テスト(まだ「テストみたいなもの」)が終わってFallが始まるまで一息いれようというところにこれである。個人的にはまだハリケーン「カトリーナ」の猛威をニュースで観た記憶があるので、いやこれ油断してたら死んじゃうんじゃないかなー・・・とか思っている。人生初のアメリカでいきなりハリケーンに遭遇するとは思わなかった。いきなり非常事態宣言が出されている場所で今俺は暮らしているらしい。今は晴れているんだけど・・・。

2011年8月23日火曜日

New Yorkの住環境について

 フルブライト奨学金の詳細について述べた際に強調した通り、たとえフルブライターであってもNew Yorkの住環境というものはいろいろ考慮しないと痛い目を見る可能性がある。何より、家賃が意味不明に高いのだ。日本の水準からすれば「月10万も払ってるのにこの程度なの?」と言われてもおかしくない。もっともこのNew Yorkという都市は、日本のセブンイレブンやローソンで230円とかで売っているサンドイッチに7ドルぐらいの額を付けてしまう、まさに金が全てを支配する場所なので、この場所では意味不明な家賃も不条理ではないのかもしれない。
 さて、俺個人の住んでいる大学の寮は、他と比較すれば(家賃の点に関してのみだが)「まだマシ」な部類に入るようだ。New Yorkではそこそこまともな場所に住もうとすると、1カ月の家賃で1800ドル以上を取る(獲る)場所などざらにあるらしい。学生寮ですら1カ月2000ドルを取る(獲る)場所があるらしく、日本人の感覚からすればとても「学生」にアドバンテージを持たせる料金設定とは考えられない。
 以前述べたとおり、俺の暮らしている部屋は家賃が安い代償として強制ルームシェアなので、数日前まで生粋のアメリカ人J.D.の学生と、もう学位とNY州の弁護士資格を獲り終わってこれからローマへ行こうというLL.M.の留学生が住んでいた。俺は大学生の時も強制的な部分的ルームシェアの状態で4年間過ごしたので、この3人の生活はそこまで不快というわけでもなかった。何よりJ.D.の学生は夏休み中だったこともあり、(俺も出不精だが)俺以上に引き籠りになっていたので気配そのものがなかった。
 しかし、彼らが8月の途中で消えて、新しくインド人が入ってきてから、やっぱりこの「強制ルームシェア」は安い家賃の代償だったなと思わされた・・・・。このインド人、本当にうるさいのである。夜10時ぐらいに料理を作りだして鍋などをガンガン叩きつけたり、11時以降に他のインド人?らしき人々と謎の言語で大声で喋るのだ。自分の部屋で喋れよと思うのだが、なぜか共用キッチンのある場所で喋るので丸聞こえである・・・。なるほど、引き籠りのルームメイトは引き籠りの方が良いらしい。

2011年8月19日金曜日

フルブライト奨学金の「全額給付」の詳細について

 フルブライト奨学金は一応「全額給付」が基本となっているが、内定後にもらう黄色い紙も、最終的に決定した後にもらうIIEからのTerms and Conditionsも、"mandatory fee"は払うとか、結構広い解釈も可能なのではないか・・・という書き方がされていて分かりにくい。そこで今回は実際にどれだけ出たのか(今の段階で出ているのか)記載しておこうと思う。


フルブライトが直接大学に支払うもの

(1)授業料(Tuition)
 これは文句なしに全額出た。ロースクールは半期で約200万という、意味不明だと言わざるを得ないぐらい高い。教科書と家賃と食費と生活費が全部込みで更に生活している場所がNew YorkかBostonなどでこの額だったら初めて妥当になる金額だと思う。

(2)保険料(Insurance)
 これも全部カバーされた。フルブライトも独自の保険がかかる仕組みだが、NYUなどはそれでは足りないので大学の保険に入らないといけないらしい。この「大学が指定してくる保険」の料金も"mandatory fee”に含まれるらしい。

(3)履修登録費用(Registration Fee)
 全く謎の項目だがNYUだと500ドルを超えていた・・・。ぼったくりもいいところだが、これも上記した"mandatory fee"に含まれるらしいのでカバーされる。



フルブライトが直接大学に支払うわけではなく、フルブライターが定期的に受け取る金銭から大学に支出しなければならないもの

(1)家賃(House Rent)
 たとえ大学の寮で、Student Accountで授業料などと同列に請求されていたとしても「フルブライトが大学に直接支払う金銭」ではなく、「フルブライターがフルブライトから受け取る金銭」で賄う必要がある。それではどこに住んでも住んだところに合った金銭が支給されるのか、というと、そういうわけではなく、地域ごとに固定された額がフルブライターに支給される仕組みになっている。例えば俺の場合、NY州という枠になるので、「生活費」として支給されるのは月々1805ドルである。これは例えばその他の食費なども含んで「生活費」としているので、フルブライト奨学金以外に全く金の当てがない場合、この額で賄える場所を自分で探し出さなければならない。「自分で」と強調したのは、フルブライト奨学金が住む場所を紹介してくれるわけではないからである。これは奨学生に内定した(あるいは内定するつもりの)人は覚えておいた方がよい

(2)電気代や水道代等 (Living Cost)
 上記した通り、これも「生活費」で賄えるようにしなければならない。もっとも、アメリカの場合はもともと家賃が電気代や水道代込で設定されている場所が多いので、それほど困ることではない。ただし携帯電話の料金は別である。

(3)教科書代等の学費(Academic Fee)
 これも基本的には定期的に受け取る金銭を自分が管理して支払う。

2011年8月15日月曜日

New Yorkで地下鉄に乗って

 地下鉄を利用して「(広い意味で)俺の分野」の先輩に当たる人と会ってきた。New Yorkの地下鉄はとにかく構内が暗くて汚いが、雨が降っていたのでそれはもう下水道のようだった。
 アメリカで地下鉄に乗るのはこれで2回目である。1回目はNYUの英語クラスで裁判所を見学に行った時に乗ったのだが、以前書いたように風邪で朦朧としていたため一刻も早く帰って寝たかったのであまり記憶がない。自発的に乗ったのは今回が初めてである。
 乗り方は地下鉄構内の複雑性に反してシンプルで、メトロカードを購入して改札でスライドするだけで乗ることができる。料金も一律2.25ドルで、乗り方に関して言えば日本の地下鉄よりは簡単である。ただし、迷路のようなむわっとする構内を歩いて目的の電車に乗らなければならない。電車の中は寒いのに構内はむわっとしていて温度差が激しい。しかも電車内の椅子はカッチカチである。一般的なシートが固いという意味ではなく、叩くとコンコン音がするという質のカッチカチである。メトロカードのシステムよりこれと構内を整える作業の方が必要なのではないか・・・。快適さは皆無である。
 さて、この地下鉄に乗って適当な?カフェでいろいろ話を聞いてきた。話の内容は俺個人にとってまあまあ面白いのだが微妙にマニアックなので割愛する。そこで小一時間程度喋った後、近くにあった紀伊国屋に連れて行ってもらった。
 HUNTER×HUNTER29巻が普通に売られていた。アメリカに行ったらしばらく日本の漫画は読めないかもなと思っていたのだが、New Yorkでは全然問題ないらしい。そこにあったのは普通の日本の紀伊国屋であり、店員も日本人が多く、新書から司馬遼太郎まで、本当に普通の紀伊国屋の品ぞろえだった。(HUNTER×HUNTERは7.4ドルもして割高だったが)普通に日本語で書かれた本を購入できる。別にアメリカに行く前に日本の作品を読んでおこうとか思う必要がなかったな・・・とムッキムキになってしまったゴンさんを見ながら思った。

2011年8月13日土曜日

ボブスト図書館へ行く

 NYUのメイン図書館であるボブスト図書館へ行ってきた。図書館のオリエンテーションはまだだが、俺はそんなの待ってられない。
 入るといきなり駅の改札みたいになっていてびっくりした。10階以上階数があり、中央が吹き抜けでぶち抜かれていて、今まで見た図書館の中では群を抜いて「芸術的」と思わせる作りになっていた。床もテカテカしている。
 一見使いにくいかもなと思っていたのだが、少し慣れると非常に分かりやすい作りになっている。蔵書数は(当然英語の文献ばかりだが)すごく沢山あるし、どこに何の本があるかも慣れるとすぐに分かる。海外の図書館利用は生まれて初めてだが、それほど探している本を見つけるのに苦労することはなかった。OISS(Office of International Students and Scholars)にフルブライトからの小切手を貰いに行った時に利用方法に関するピンク色の紙を貰ったので、俺のような人間が探している本が6・7・8階に固まっているということもすぐに分かった。
 また、貸出期限に関してはまた1段階レベルアップした気がする。日本の学士だと大体長くても2週間、修士・博士だと学位論文作成中とかでなければ大体普通は2カ月程度なのだが、NYUのMasterやDoctorは4カ月が通常サイクルである。8月に借りると12月に返すことになるので、下手したら教科書を買わずに図書館で借りてやり過ごすこともできるかもしれないと思った。

2011年8月7日日曜日

New Yorkでアドパに行く


 安いテレビを買ったので持ってきたPS3を繋げてアドパに行ってみた。日本と離れているのに驚くほど快適である。
 実はアドパに行く前にKAIの方も試してみたのだが、あっちは全然だめだった。日本でやっていたまま繋げると、EnglishとかSouth Americaを選んでもエスタになる確率が非常に高くなってしまう。Japanを選んだ場合、部屋に入るとPING値が平均して200という、かなり高い数値になってしまい、とてもではないがゲームができる状態ではなかった。ギルカも全然送れない。それに対して理由は知らないがアドパはものすごく快適である。ほとんど日本でやっている時と同じ状態でできる。
 とにかくこれでHDバージョンを迎える準備は整った。今のところ週1でできればいい方だが、実はMHP3は「週1でできればいい方」の人の方が楽しめる作りになっているので、結果的にこれで良いのかもしれない。HDバージョンについてはまたボロい商売始めやがったなこいつらとは思うが、PS3でできるのは嬉しいので素直に踊らされてみる。

2011年8月6日土曜日

イェーーーイ!

 今日から2日授業が休みなのでやっっっっっと部屋を掃除できる。アメリカで生活していくための準備ができる。どっかのアホがさっさとDS―2019というぺらい紙を俺に送ってくれてさえすれば手に入っていた1週間の準備期間を丸々失ったので、この1週間は授業→(合間に何とか手続き的な準備)→寝る→授業の繰り返しで、ほとんど俺が日本を出る前に送った段ボールなどは整理されずにそのまま部屋に放置されていたのだ。モンハンなんて触ってもいませんよ
 しかもアメリカに来てから(俺らしいことに)いきなり風邪を引いてしまって、せっかく来たのに授業を休むわけにもいかず、本当にこの1週間が心底うんざりする一週間だった。一応ニューヨークに来たのだが、俺はまだ日本より劣っているスーパー、劣っている家電量販(?)店、劣っているATM、劣っているマクドナルド、横暴な店員、勝手に閉まる部屋の(鬼)ドア、人を殺す目的でかけられているであろうエアコンしか発見しておらず、「え・・・ここって世界経済の中心部がある場所だったよな・・・?」という感想しか持っていないため、時間があれば早く「すげえよアメリカ。U・S・A!」みたいな感想を持てる場所に行きたいものだ。

2011年8月1日月曜日

New Yorkのユニクロへ行く

 昨日New Yorkのユニクロに行って49ドルのジーンズを買った。日本で買って持ってきていた(と思い込んでいた・・・?「一体いつから私がジーンズをもう一本持ってきていると錯覚していた?」だよ畜生。)ジーンズを紛失していたためだ。アメリカではまだNew Yorkにしかないみたいだが、俺の人生においては「大体俺の住んでいる場所の近くにはユニクロと焼肉屋がある」というパターンが続いているので、アメリカにおいてもこのパターンを踏襲しているらしい。まだいい感じの焼肉屋は発見していないが。
 俺の住んでいるNYUの寮(Washington Square Parkの辺り)から、ユニクロがあるSOHOまで大体歩いて(順調だと)15分ぐらいで行ける。田舎のチェーン店のようにこれがユニクロですと言わんばかりの看板は無いが、東京などにある街中の一軒がそのままアメリカにある感じに外観はなっている。
 中身は日本のユニクロよりはやっぱり綺麗である。この前の投稿で書いた通り、俺は今のところアメリカの多くの建物、通りが「汚い」(特に俺が通ったあらゆるストリートには必ずと言っていいほど黒くなったガムの残骸が大量にへばり付いている。俺の想像だとBroadwayはもっと全般的にキラキラしている予定だったんだけどな・・・)と思っているので、日本を代表する企業であるユニクロの店内は、皮肉なことに「俺の想像上のNYC」に合致する最初の場所だった。店内は3階建てぐらいになっていて、行ったのが日曜日だったからか人でいっぱいだった。俺が今まで訪れたことのあるユニクロでは最高レベルの混雑度合いである。陳列している物は大体日本と同じなので、日本のユニクロを何度も利用したことがある人には本当にとっつきやすい。結構商品に「日本の材質と技術で作られたものです」という表記がされている場合が多く、なるほどユニクロはこうやってアメリカで戦っているんだなというのが分かる。今の所NYUの本屋もドライヤーを購入した電気店も、出口で「レシートチェック」(Hey Sirと怖いおっさんおばさんに呼び止められて買った商品のレシートと商品をじろじろ見られる漏れなく日本人だったらめんどくせぇ・・・と思ってしまうサービス)なるものがあったのだが、この店は無い。
 さて、こうして関心する部分も多かったのだが、ジーンズの裾上げに2時間も要するという点は、まだまだ日本のサービスの水準からすればアメリカのユニクロは不便だなと思った。"How long does it take?" と聞くと "2 hours." と返答が帰ってきて、これだと漏れなく客はめんどくせぇ・・・と思ってしまうだろう。俺が行ったのが混雑している時だったからかもしれないが、俺はめんどくせぇ・・・と思った。日本と同じで無料なのは良いのだが、日本でこれだと他の店がこれよりダメじゃなかったら俺がジーンズをこの店に買いに来ることは多分無いなと思う。ここがアメリカのニューヨーク店じゃなくてソマリアのモガディシュ店などだったらまだ仕方無いかもなと思えるのだが・・・。

アメリカ生活の始まり

 アメリカに到着した。途中で時間の感覚が分からなくなったのだが、少なくとも10時間以上は飛行機の中(当然エコノミー)だった。
 まずまあ色々失敗した。来る途中の飛行機がとりあえず全てにおいて失敗していた。成田からサンフランシスコ経由だったのだが、その便は3席あるうちの真ん中が俺の席になっていて、両サイドを本当にサイズのでかい男と女に挟まれる形になっていた。成田を出てから少しすると、お休みタイムみたいになって電気が消えて俺も寝ようかなと思ったのだが、無理だった。俺の左に座っていたサイズのデカイ男が、俺の方を向いて寝始めたからだ。つまり目線で言うと左から→↑↑になっていて、しかも俺に配分された座席のテリトリーを完全に侵す形で眠り始めた・・・・。俺は諦めてアオアシラを殺す作業に集中した。途中、右の女がトイレだかに行った時に隣の男を起こして通路まで彼女が出るのを手伝ったのだが、その後に彼女からガムを貰った。
 ようやくサンフランシスコの空港に到着したのだが、結構どこに行けばいいのか説明が無くて当惑した。日本の空港の方が多くの点でまだ親切である。俺の航空チケットが土壇場で変更されたせいでゲートも分からないし、座席も決まっていなかったので冷たい現地ユナイテッド航空のスタッフにいろいろ聞きながらゲートまで行った。飛行機に乗るまでが大変だった。朝10時ぐらいに着いたのだが、休むこともできないままNY行きの飛行機に乗った。そして、この飛行機も意味不明に最悪だった。へー急に決まったのに今度は窓側じゃんラッキーと意気揚々と乗り込み、NYに着くまでに勉強しようっと。そして疲れたら昨日(昨日かどうか不明)一睡もしてないし寝よう・・・。と思っていたのだが、俺の前に座っていた家族連れの子供が本っっっっっっっっっっっ当に大きな声で泣き喚き始めたのだ。それはすさまじいスタミナだった。泣き疲れるという言葉なんてこの世界に存在しないんじゃないかというぐらい延々泣き喚き続けた。しかもしまいにはなぜか前のシートの背もたれから俺たち後ろの3人が座っているところを向いて泣き喚き始めた。本当に勘弁してくれ・・・。全然勉強も睡眠もできなかった・・・。
 サンフランシスコの時間で朝10時に出て、大体6時間ぐらい(この状況で)飛んでやっとJFK空港にニューヨークの夕方6時ぐらいに辿り着いた。もう完全に疲れ切っていたし、うんざりしていたのでタクシーでさっさとNYUの寮に行こうとしたのだが、時間も時間なので渋滞に捕まってしまい、寮の近くに着いたのは午後9時を過ぎたぐらいだった・・・。
 肝心の寮なのだが、欧米の「普通」が良く分からないが、俺は日本の方が大体のアパートが綺麗だと思った。空港から眺めていたアメリカの多くの建物についても同じことが言えるのだが、経年劣化以外の理由で生じた汚れが本当に多くある。ああなるほどここがアメリカなんだなと思わせられた。
 とりあえず部屋まで上がって俺は溜まっている洗濯物を寮にあるランドリーに洗いに行くことにした。そして1時間30分後、乾燥が終わったジーンズのポケットに、最初の飛行機で女から貰ったガムがこびりついているのを発見した・・・。隣のデカイ男みたいにNo thank youって言えば良かったと激しく思った。これが俺の人生におけるアメリカでの第1日目である・・・。