2011年6月9日木曜日

LIFE 6 SENSE 感想

 最近発売されたUVERWorldの新しいアルバムLIFE 6 SENSEを入手した。前回のLASTが結構いいアルバムで、何度も聴きたくなるような曲が多かった分、今回のアルバムには個人的に期待していた。
 まず特筆しておくべきは「CORE PRIDE」だろう。俺はこれまでこのバンドを理解したかったら「D-tecnoLife」か「激動」を聴くべきだと思っていたが、新たに「CORE PRIDE」も加えるべきだなと思う。シングルが出た段階で感想を書こうかと思ったぐらい「これがUVERWorld」という味が出ている曲である。率直な歌詞と複雑で多様なメロディーがUVERWorldの持ち味だが、この曲はこの全てが高い水準で発揮されていると思う。何より個人的には「白昼夢」や「いつか必ず死ぬことを忘れるな」という曲よりこの曲の方が今この国(特に何か心から欲しい物を手に入れようとしている人々)に必要だと思った。
 「CORE PRIDE」に加えて印象的だったのは上述した「白昼夢」と「いつか必ず死ぬことを忘れるな」である。こういった歌に対する距離感というのは人それぞれだと思うが、今年の文脈からすればおそらく聴いて「近い」と感じた人の方が多いと思う。特に、歌の前向きな内容からすればなぜ「白昼夢」という、ある種後ろ向きなニュアンスを含んだタイトルであの歌が題されているのか、ということは非常に興味深い。ここで述べた「距離感」と関連付けて言えば、やはり他者の不幸はどこまで行っても自分自身とゼロの距離として理解できないという事実があるのかもしれない。その意味で他者の不幸はどこまで行っても非現実(的)なことなのかもしれない。
 しかし、程度はあるが人間は「共感」という不思議な能力(半ば意思に反する形で機能する場合が多いと思うので『性』と言った方が正確かもしれない)を持っているので、複雑なことにそういった「非現実」をそのまま「非現実」として感得しない。他者の痛みを自分の痛みとして置き換えて考え(させ)る性質がある。「お前に何が分かるのか」と言われても、そこで諦めることを許さず、分かろうとさせる性質がある。そしてその複雑な心境の中、自分の「現実」を生きなければならない。まさにそのような状況で自分の「現実」を生きている者にとっては、より自分自身に近い距離でもって非現実(的)な「白昼夢」が繰り広げられた文脈が現在の日本にはある。
 このように考えると「白昼夢」という歌は、「白昼夢」を体験した、悲惨な出来事から離れているが、共感を持ってそれを理解した者の立場の歌だろうと思う。この普段より力強い声で歌われた歌のように、「白昼夢」を体験した人々には、「白昼夢」を体験している側だからこそできることや、考えられることがあるのかもしれない。「白昼夢」を「白昼夢」としてではなく、ゼロの距離の「現実」として体験した人々が居るということを考えながら、それぞれ自分の「現実」を生きなければならない。そういったことを考えさせる歌だった。

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